『愛犬家の動物行動学者が教えてくれた秘密の話』
(原題:Canine Confidential)
翻訳作業に協力させていただいた本が出版されました。
これまでにも犬の行動に関する書籍はたくさん出版されてきましたが、この本は犬の「個体差」を中心にして話が進んでいく点が特徴的です。
これまでの行動学の研究は「同じ種の動物ならば同じような行動が観察されるだろう」という前提のもとで進められてきました。
しかし、本書の著者であるマーク・ベコフ氏は、「犬は個体によって行動が異なり、それぞれが個性的な存在である」という立場で研究を進めてきた第1人者です。
このような動物の見方は、私たちからすれば当たり前のことかもしれませんが、ある「一定の法則」を見出そうとする科学者としては、個体間の「違い」に着目することは容易なことではないのです。
本書には、科学的な分析だけでなく、著者がこれまでに出会ってきた犬たちのおもしろいエピソードがたくさん詰め込まれていて、犬に対する著者の愛が感じられる1冊になっています。
私個人としては、訳文の学術的なチェック作業に関わらせていただきました。
ぜひお手に取っていただければと思います。